水没したときのリカバリー方法 |
出来ればしたくないトラブルの一つです。 |
*まず、何処に水が入り、どうなるか、吸入エアーの流れの順番に、説明します。 |
エアクリーナーエレメント 空気が通らなくなる。 エレメントに含んだ水が、エンジン始動すると、シリンダー内に吸入される。 |
キャブレター 燃料と一緒に、又は、エアベントチューブ、エアクリーナー側からフロートチャンバーに浸水します。 水では、エンジンかかりません。 |
クランク室(2st) ここで言う、クランク室は2stの1次圧縮室の事ですが、クランクシャフトと、クランクベアリングが有ります。キャブレターで作られた混合気に含まれたオイルだけで潤滑していますから油膜が薄いので水が入るとすぐに錆付いてしまいます。 この部分の水は、キックをしただけでは、抜けません。 |
シリンダー 燃焼室容積以上の水が入ると圧縮した時に、力の逃げ場が無くなりピストン、コンロッド、クランクシャフト等を変形させてしまいます。 |
スパークプラグ 中心電極と接地電極の間を水で短絡してしまい火花が飛ばなくなる。 |
エキゾーストパイプ&マフラー 排気ガスが抜けないので、糞づまりの状態。シリンダーの中に逆流する場合もある。 |
クランク室(2st、4st) ここで言うクランク室は、クラッチ関係、ミッション関係の入っている部屋(4stはクランクシャフトも有ります)を言いますが、ブローバイホースが付いているだけで、密閉されているのに、なぜ水が入るの?と思われるかもしれませんが、ハードな走行で焼けているクランクケースが、水に入った時に、一気に冷やされるとクランク室の空気も冷やされて負圧になるので、ブローバイホースから水を吸いこみます。 |
フューエルタンク クランク室同様、急激に冷やされると、タンクキャップに有る空気取り入れ口から、水を吸いこみます。 |
*次に、作業の順番で説明しましょう。 |
1. | スパークプラグをはずし、水分を息で吹き飛ばす&ウエスで拭き取る。 作業が終わる間、乾かしておく。(スペアがあればそれを使う。) |
2. | エアクリーナーエレメントをはずし、水分を絞り切る。振り回しても効果があります。 作業が終わる間、乾かしておく。 |
3. | マフラーの中の水を抜くために、オートバイをウィリー状態に立てる。 重くて立てられないときには、マフラーをはずして抜く。 |
4. | キャブレターのドレーンボルトを緩めて水を抜く。 |
5. | ガソリンタンクのコックを緩めて水を抜く。 このとき、ガソリンタンクは逆凹になっているので、フューエルコックの有る側にオートバイを大きく傾けて、水を寄せる。 |
6. | アクセル全開でキックしてシリンダー内の水を出す。ひたすら蹴る。*2st車は補足説明参考! 水の量が多いようだったら2st車と同じ方法で水抜き。 この時イグニッションキーはOFFにしておかないとCDIが壊れる可能性有り。 (GASGASはクランク室にドレーンプラグが付いています。それを取り外して抜けば楽勝!) |
7. | シリンダー内の水が抜けたら、スパークプラグを付けて、チョークON、フューエルコックON |
8. | 始動します、気合を入れていきましょう。 シリンダー内に水が残っている可能性があるので、最初の数発のキックが肝心です。 |
9. | エンジンがかかれば、ここで油断せず、吸排気系の水分が無くなるまで、中回転を維持しておきましょう。決して、高回転で、アクセルをあおってはいけません。 |
10. | 中回転を維持したまま、エアクリーナーエレメントを取り付けます。 |
11. | クランクシャフト、ピストンにオイルが廻るまで様子を見ます。 |
*2st車の補足説明 |
1. | オートバイのお腹が真上を向くように、車体を裏返す。 |
2. | ギアを2速又は3速に入れる。 |
3. | リアタイヤを手で回し、クランキングして水を抜く。 |
*走行後の整備 |
1. | 帰宅したらすぐに、エンジンオイル&ギアオイルの交換をしましょう。 水が入っていれば、乳白色に変色しています。 1回では不充分な場合が多いです。出来れば、フラッシングしてやりましょう。 |
2. | ワイヤーケーブル類に注油をしておきましょう。 |
3. | 車体のベアリングに、給油脂しておきましょう。 |
4. | 配線コネクター、ハンドルスイッチ、メーター、ウィンカー類の浸水状態をチェックしておきましょう。 |
5. | 作業が面倒くさい人は、B−1でバイクを買い替えましょう。 ↑ここが特に重要!(笑) |